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Gut Pfiff! ‐aus Deutschland

Gut Pfiff! ‐aus Deutschland  *ドイツ語で「よい笛を!」の意。
レフェリー仲間同士でよく使う言葉。試合開始直前の選手との握手、試合前の監督やチーム関係者、観戦者との会話では、
Gutes Spiel! 「良いゲームを!」がよく使われます。

第三回: アセスメント・レポート      実藤 順丈

 皆様、ご無沙汰しております。お変わりありませんでしょうか。
早いものでドイツでの3年目のシーズン、後半戦を迎えました。
1年目、2年目のシーズン合計で84試合を担当させて頂き、
3年目の前半戦を含め今まで112試合を担当させて頂きました。

第一回ではドイツのリーグ構成について、
第二回ではレフェリー登録が完了するまでについて触れました。
今回は「アセスメント・レポート」についてお伝えします。

レポート
(写真1)アセスメント・レポート(DFB フォーマット)1

http://www.dfb.de/schiedsrichter/artikel/so-funktioniert-die-schiedsrichter-bewertung-1090/


ドイツの全ての地域協会で同じような運用をしているかどうかは分かりませんが、
私が所属する地域協会では、すべてのレフェリーは、
1シーズンで少なくとも3回のアセスメントを受けることができる、と言われています。
シーズン前半戦で平均評価点の良かったレフェリーは、
シーズン後半の間にさらに追加で2回のアセスメントを受け、
担当リーグの昇格となるかどうかが決まります。
では、DFB のウェブサイトでも見ることができるアセスメント・レポートのフォーマットを、
日本の審判アセスメント・レポートと比較をしながら見ていきましょう。
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(写真2)実際のアセスメント・レポートの例(地域協会フォーマット)
 *写真の一部加工(副審、アセッサーの名前を伏せた)


まず始めに、大会名(リーグ名)と対戦チーム、試合日、試合結果、
主審、副審、アセッサーの名前、評価点、試合の難易度を見ることができます。
試合時間の記述はありません。
おそらく、年齢カテゴリー毎に試合時間は決まっており、
リーグにより試合時間が変わるわけではない、
すなわち試合時間は自明であるからだと思っています。
東京都1部が90分ゲーム、東京都2部が80分ゲームというように、
リーグにより試合時間が変わることはドイツではありません。
例えば、1部(ブンデス・リーガ)から12部(クライス・リーガ)まで試合時間は90分、
A カテゴリー(U-19)はどのリーグでも(何部リーグでも)90分で、
B カテゴリー(U-17)は何部リーグでも80分です。
試合結果は、ハーフタイムまでのスコアと試合終了後のスコアを記述します。
前半が2:1、後半が0:1ならば、ハーフタイムまで(Halbzeit)2:1、試合結果(Ergebnis)2:2、
もしくは試合結果(Ergebnis)2:2(2:1)という書き方がドイツでは普通です。
アセッサーの意味である „Beobachter“ は直訳すると「観察者」もしくは「監視者」ですが、
ドイツ語のその語感とは異なり、„Schiedsrichter-Beobachter“(レフェリー・アセッサー)は、
もちろん試合を観察、評価するだけではなく
試合後にレフェリー・チームと一緒に試合を振り返って議論、分析を行い、
またコーチとしての役割もあります。
アセスメント・レポートのヘッダー(写真1)にあるように、
レフェリー・コーチ、レフェリー・アセッサーと言葉を使い分けている場合もあります。
評価点とそのスケールについての感覚は、驚くことに日本と殆ど同じです。
7点代とは、そのリーグを担当するに相応しいパフォーマンスを示すことができなかった、ということであり、
平均評価点が7点代になると担当リーグの降格となります。
地域協会の担当者によっては、追加のアセスメントを受けることができるレフェリーの平均評価点を発表する場合があります。
2シーズン前は、6部担当で平均評価点8.44以上のレフェリーが5部昇格候補、
7部担当で平均評価点8.46以上のレフェリーは6部昇格候補、
と発表されましたが、昨シーズンは発表がありませんでした。
昇格候補となるためには、8.4以上は必ず、そして3回のアセスメントのうちいくつかは
8.5もしくは8.6が必要ということでしょうし、シーズン前半戦で2回、
もしくは1回のみアセスメントを受けるレフェリーもいるので、それぞれが高得点である必要があります。
試合の難易度は、ドイツでは、普通、難しい、大変難しいの3段階。
第1段階が「普通」か「やさしい」か、の違いはありますが、
日本の審判アセスメント・レポートと同様に3段階です。
ちなみに、アセスメント・レポートは、2シーズン前までメールにて受け取っておりましたが、
昨シーズンよりメールでのやりとりではなく、ウェブ上で閲覧するようになりました。
例えて言いますと、Kick-off のシステム上でアセスメント・レポートを閲覧する、ということになります。
DFB 協会が使用するフォーマットと、地域協会が使用するフォーマットには少し違いがあります。
地域協会管轄の試合では第四の審判員が割り当てられることが殆どないため、
アセスメント・レポートに第四の審判員の項目がありません。
代わりに、副審1に「ベンチ(監督、チーム役員、交代要員)に対する振る舞い」(ベンチ・コントロール)の評価項目があります。
ちなみにブンデスリーガ2部に第四の審判員が割り当てられたのは2009・2010年シーズンから、
ブンデスリーガ3部以下のリーグでは、入れ替え戦などを除き、第四の審判員は通常割り当てられておりません。
以降、アセスメント・レポートの項目は次のページの通りです。
日独のアセスメントを比較すると、フォーマットの違いはあれ、試合後のフィードバックとレポートの内容を含めると、
両者、評価される項目にはほとんど違いがないと考えています。
ただ、日独でフォーマットの違いがあるということは、評価の力点、どのレベル(リーグ)から
それが求められるのかが異なるのかもしれません。

しかしながら、ドイツでは日本よりどの評価項目がより評価されているのか、
また逆について断定することは難しく、文化、考え方の違いだけではなく、
競技会規則の違いもあり、単純には比較することができないと思っています。
それぞれの項目についても、実際に私が頂いたレポートの記述を引用しながら説明をさせて頂こうと思いましたが、
下書きの時点でかなりのボリュームになってしまいました。
今回は概要をお伝えする、ということにしたいと思います。それでは次回まで。


ドイツのアセスメント・レポート
1. 試合の内容(どのような試合であったのかについての記述)
2. 規則の適用、規則の解釈、ゲームコントロール、戦術的振る舞い
3. 懲戒罰、懲戒罰の数
4. パーソナリティ、ボディーランゲージ、選手とチーム役員(ベンチ)のコントロール
5. 体力、ポジショニング
 • 常に争点の近くにいるか
 • 事象を見極めるために、良い角度、視野を保っていたか
 • アウトオブプレーの時のポジション
 • 対角線式審判法に基づきながらもフレキシブルな動きができてい
 るかどうか
 • 必要な時にペナルティーエリア内にいるかどうか
6. 副審との協力
7. アセスメントのサマリーと改善のためのアドバイス
 • 良かった点
 • 調整(改善)すべき点
8. 副審1のアセスメント
 • オフサイド
 • 主審との協力
 • プレーの再開のコントロール
 • ポジショニングと動き
 • ファウルサポート
 • ベンチ(監督、チーム役員、交代要員)に対する振る舞い
     (地域協会アセスメント・レ
ポートのみ)
9. 副審2のアセスメント
 • オフサイド
  主審との協力
 • プレーの再開のコントロール
 • ポジショニングと動き
 • ファウルサポート
10. 第四の審判員のアセスメント(DFB アセスメント・レポートのみ)
 • ホームチームの監督に対する振る舞い
 • ホームチームのチーム役員に対する振る舞い
 • ホームチームの交代要員と交代した選手に対する振る舞い
 • ゲストチームの監督に対する振る舞い
 • ゲストチームのチーム役員に対する振る舞い
 • ゲストチームの交代要員と交代した選手に対する振る舞い


2017.3.10更新


  

第二回:  レフェリー登録が完了するまで         実藤 順丈

皆様、ご無沙汰しております。お変わりありませんでしょうか。
早いもので、私にとってのドイツでの最初のシーズンが終わり、
2年目のシーズンを既に迎えております。
1年目のシーズンでは、主審もしくは副審として、
男子5部から9部、女子4部、ユース(U19、U17)の2部、ジュニアユース(U15)1部、
地域ポカール(日本での天皇杯に相当するDFBポカールの地域予選)、
テストマッチなど40試合を担当することができました。
アセスメントも受けることができ、最初は高得点を取ることができませんでしたが、
昨シーズン終盤で8.6、今シーズン最初のアセスメントで8.4の評価を得ることができ、
次のアセスメントを楽しみにしているところです。
(次回以降詳細をお伝えする予定ですが、評価スケールは驚くことに日本と同様です)

 第二回は、ドイツにてレフェリー登録が完了するまでを振り返りお話したいと思います。
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DFB(ドイツサッカー連盟)より発行される審判証

ドイツでレフェリー活動を始めるには、
まずはともあれ、地域協会(日本でいう関東協会に相当)に連絡が必要ということで、
ドイツに引越しをした1ヵ月後、2013年10月に地域協会にコンタクトを取りました。
地域協会のウェブサイトの問い合わせフォームから連絡をすると、
2時間後には「数日以内にまた連絡をする。」との返信がメールであり幸先が良いように思えました。
 しかしその後は、1週間経っても連絡がなく、
1ヶ月経っても連絡がなく、都度状況は如何でしょうかと確認の連絡をするも返信がなく、
英語で問い合わせしていたのがいけないのかと思いドイツ語に変えてみたり、
電話で直接話をしたい旨メールを書いても返信がなく、、、。
12月になってようやく返信があり、「残念ながら管轄の Kreis(クライス)協会が登録を躊躇している。
他の Kreis 協会にて登録できるように交渉中。
いずれにせよ、Winterpause(ウィンターブレイク、ドイツ語発音ではヴィンターパウゼ)
が終わる2月まで少なくとも待たなくてはならない。」との内容。

 ドイツの行政区分は日本と異なり連邦制、州による区分で都道府県による区分ではないため、
Kreis 協会をどう日本語に訳してよいのか悩みますが、
サッカー協会に関しては日本でいう都道府県協会の位置付けに似ています。
日本では地域協会があり、都道府県協会があるのと同じように、
ドイツでは地域協会がいくつかの Kreis 協会を管轄しています。
ちなみに、州と地域協会の区分は完全に一致はしていません。
ほぼ各州毎に1地域協会ですが、ノルトライン・ヴェストファーレン州、ラインラント・プファルツ州と
バーデン・ヴュルテンベルク州の3 州には複数の地域協会が存在します。
© NordNordWest, http://de.wikipedia.org/wiki/Land_(Deutschland)
 © Muns, https://en.wikipedia.org/wiki/Oberliga_(football)
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ドイツ16連邦州と21サッカー地域協会さて、「躊躇している」とはどういうことか。
地域協会の担当者に電話で状況を聞いたところによると、
「ドイツ語を流暢に話せて書けなければレフェリーとしての活動に支障があると管轄 Kreis 協会は考えており、
それで登録手続きが進んでいない。別の Kreis 協会に、レフェリー登録できないか交渉中。」とのことでした。

ドイツ語を流暢に話せて書けることは確かに望ましいし、
それを目指すべきなのは確かにその通りで異論はありません。
ただ、それを待っていてはすぐに活動を始められないということもあり、
どのKreis 協会でも登録が完了するならまずそれでレフェリー活動を始めたいということで、
地域協会に交渉を続けて頂くようお願いすることにしました。

 ウィンターブレイクが終わり、3月に入ってもまだ連絡がないため、再度状況がどうかと連絡をし、
3月下旬になってようやく、「体力テストと筆記テストを受けてほしい」と連絡がありました。
どうやらこのテストは、新規登録講習会ではなく、地域協会所属のレフェリーが毎年受講している更新講習会のことで
それに参加してほしいとのことのようです。
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日本協会に発行をお願いした Certificate(現地地域協会へ提出) *写真は一部加工

更新講習会の様子も次回以降詳しくお伝えしたいと思いますが、
4月上旬にテストを受けに行くと、 「どのクラブに所属しているんだい?」
と聞かれ、何のことだろうと質問の意図を明らかにしていくと、
どうやらドイツではレフェリーとしてサッカー協会に登録する前に、
どこかのクラブに所属する必要があるらしい、と分かりました。

なお、ドイツでは、レフェリーは所属するクラブから、
レフェリー用具を購入するための金銭的なサポートを受けることができます。
これはレフェリーをサポートする各クラブが DFB から金銭的なサポートを受けているからでもあります。
 私のケースでは、登録される Kreis 協会がまだ決まっていないので、
クラブへの登録を先に進めてよいものかという心配がありました。
Kreis 協会管轄下のクラブに所属する必要があるからです。
とはいえ、少しでも調査、手続きが進むようにと、
テストから帰ってすぐに、レフェリーを募集しているクラブを探し始めました。

ウェブで「クラブ „Verein “」と「レフェリー募集中 „Schiedsrichter gesucht!“」のキーワード、
自宅から行きやすい場所にあること、などを基準に検索をしました。
結果、講習の2日後にはクラブを見つけ連絡を取り始めました。
クラブ探しをしている間に、Kreis 協会の講習会やアサインされる試合への行きやすさを考えると、
やはり所属する Kreis 協会は近いほうが理想的と思い、
「このクラブに所属する手続きを進めているので、当初の予定通り、
この町を管轄している Kreis 協会に登録させてほしい。」と再度地域協会に伝えました。

それから1ヶ月半以上経った5月末に連絡があり、6月15日に、
「直接 Kreis 協会審判委員会委員長に直接会って話をしよう。」ということになりました。
どうやらこの日に Kreis 協会での更新講習会があるようです。
Kreis 協会の更新講習会当日、地域協会審判委員会委員長が私を
Kreis 協会審判委員会委員長に紹介をしてくださいました。
両審判委員会会長からのメッセージは「試合前のチームとの調整、試合の公式記録の記入、
必要であれば試合後にレッドカードの状況の報告等、ドイツ語でのやりとりは必須である。」ということで、
対して私からのメッセージは「それには異論がないことと、ドイツ語は既にコースに通っており、
今後も継続して勉強していく。」という単純なものでしたが、登録を承認して頂けるということになりました。

2014年7月1日付でレフェリー登録が完了し、
その後、2014・2015年シーズン前のテストマッチの割り当てを頂けるようになりました。
(ここまで約9ヶ月)

テストマッチの間に気がついたのは、
試合の公式記録は(DFB net と呼ばれる)オンラインで全て行う、ということ。
そのシステムにログインするためのアカウントがないまま既にシーズンが始まってしまいましたが、
当初は一緒に試合を担当する副審にログインしてもらいやり繰りをし、
8月28日にアカウントができて自分でログインできるようになりました。
これで実質的にレフェリー活動の準備ができた、と言えるところまで来ました。
(ここまで約11ヶ月)

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DFB net の公式記録記入画面 *写真は一部加工

ちなみに、試合のアサイメントもこの DFB net を経由して行われます。
レフェリー登録手続きの最後に、DFB より発行される審判証を受け取ったのが10月1日。これで全てが揃いました。
(ここまで約1年)

この審判証を楽しみに待っていた理由があります。
それは、この審判証をスタジアムで見せると、
ドイツ国内の試合はブンデスリーガを含む全てと
地域協会管轄のスタジアムでの開催される代表戦のチケットを
無料で受け取ることができるからです。

自分の担当する割り当て、その他の予定もあるので毎週スタジアムに行くことはできませんが、
今後も予定があう限り、観戦研修としてスタジアムで試合を観るつもりでいます。

game
2015・2016シーズン第8節 バイエルン・ミュンヘン対ボルシア・ドルトムント

それでは次回まで。
 

実藤順丈 Gut Pfiff! -aus Deutschland


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