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まずはじめに「お知らせ!NEW」をご覧ください。
 

佐々木 滋 の台湾通信

台湾通信 vol.9           佐々木

野球の23歳以下の世界大会「U23WBC」が、
10月13日から23日まで台湾で開催されました。
図のような12ヵ国が参加です。
どういう基準でこの12ヵ国が選ばれたのか、
地区予選があったのかはわかりません。

最大の野球王国アメリカは参加していませんでした。 

U23 WBC 

年齢制限のない「WBC」もそうですが、
野球の世界大会はどうも大会運営の基準がはっきりしません。
「WBC」に出てくるアメリカチームは大リーガーがいないので最強チームではありませんし、
世界大会と言う名前がふさわしいのかいつも疑問に思っています。
サッカーのワールドカップとはいろいろな点で異なります。

何はさておき、今回の「U23WBC」は社会人チームの若手で固めた日本チームが
接戦の末優勝しました。

参加国は図を見ての通りで、
野球と言うのは偏った地域で盛んなスポーツだというのがわかります。
東アジア、北中南米、オーストラリアと欧州の限られた国、
アフリカは南アフリカだけです。
盛んな国は、ちょうど国際経済連携関係の「TPP」に参加している国と同じような感じです。

欧州からは今回オランダとドイツが参加していました。
オランダは野球の国際大会の常連ですが、ドイツの参加にはびっくりしました。
ドイツ人も野球をするのかと。
テレビで見るドイツチームはバットコントロールにしても
グラブさばきにしても小さいころから野球に親しんでいる
東アジアの選手に比して大いに見劣りがします。

ところが試合では結構強豪に対して善戦です。
たまたま見た日本戦も早い回でコールド負けかなと思っていたら、
結構粘っていました。

(結果は0:6で負けましたが)

サッカーのワールドカップでは予選リーグで日本はドイツと戦います。

実力的に立場は野球と反対ですが、
日本チームには善戦でなく、番狂わせで勝ってほしいものです。

 

話は変わりますが、台湾ではコロナが一向に収まりません。

2019年にコロナが世界中ではやり始めたころ、
その感染抑え込みに成功した優等生国という感じは今はありません。
連日、新規感染者が3万人から5万人ほど出ています。
日本のそれが2万人台になったころも5万人台でした。

日本の人口1億2千万に比して台湾は2千3百万人、この数は多すぎます。

ワクチンの接種率は2回目まで打った人が80%、
3回目となると50%台と低いのが理由かもしれません。

こちらの人はコロナは風邪のようなもの、罹ったら罹ったで仕方なしの感覚です。
海外からの旅行者も11月からほとんど制限なしで受け入れます。
政府の政策も自然に収まるのを待つということのようです。

(2022年10月2
8日)

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台湾通信 vol.8 


<プレミア/ブンデス観戦記-後編>  佐々木 滋(台湾在住会員)

さて、今回は観戦記を中心にご報告いたします。
まずはプレミアのMUNの試合イギリス編から。

 

「イギリス」

スタジアムは76.000人収容のオールド、トラフォードスタジアム。
トラック無しのサッカー専用競技場。観客席の上には屋根があり雨/雪でも観戦問題なし。
私の席は2階席のゴールラインの延長上あたり、見やすい席でした。
赤い服をまとったサポーターたちのはゴール後ろの立見席。
相手チームの為にも反対側のゴール後ろの一つのブロックが確保されています。

知人にフーリガンに気を付けてと言われましたが、そんな人は見かけませんでした。
普通のサッカー好きの人が見に来ている感じで、息子を連れてきているお父さんの姿もちらほら。
サポーター席は盛り上がっていて怖い感じがしましたが。

PM8:00キックオフ、
MNU(現在リーグ戦5位)と下位に低迷するバーンレイの試合で
タレント集団のMNUの一方的な試合と思いきや、
バーンレイがしっかり守ってのカウンター狙いの試合展開で
前半はなんとバーンレイの1点リードで終了しました。

後半も同様の展開でMNUは攻めてはいるものの決定的なチャンスを作れず、
逆に後半35分にカウンターから再び1点を失いました。
この時点で勝負あったとみた人が続々帰り始めました。
私もあのマッチ箱のような路面電車での帰りの混雑を恐れてここでスタジアムを後にしました。

スタジアムの外を歩いている時に大歓声が聞こえて
「あ、MNUが点を取ったな」と思いましたが駅へと歩を進めました。
駅のホームで人々がNetニュースでMNUが2点を返して2:2のドローだと話しているのを聞き、
一番盛り上がる場面を見損なったなと後悔しましたが、後の祭りでした。
(早めに出たのに駅のホームはすごい人、ホームには入場制限さえかけられていました。
10分ほど待たされて満員の電車に揺られてホテルへ。
あの電車はせいぜい400人乗れるかどうか、
どうやって数万人の観客を市街地まで運ぶのか今でも不思議に思っています。
改善しないのかも不思議です。日本だったら何か手を打つでしょうが、。)

 

「ドイツ」

スタジアムは52.000人収容のバルトシュタディオンスタジアム。
ドイツワールドカップの時に作られたとかで、周りを森に囲まれた郊外にあります。
隣には練習場、平日には選手の練習が見られるとか。

やはりトラック無しのサッカー専用競技場で、全面屋根付きで
フィールド中央上部には大きなスクリーンが、選手紹介やプレーのリプレーが見られます。

私の席は今回も2階席、ペナルティーエリアの延長上くらいの位置でこちらも見やすい席でした。
欲を言えば1階席で観たかったですが。

観客は行きの電車の中からビールを飲んで盛り上がっている人が多く、女性や家族連れもたくさん。
スタジアムの周り、中にも警官が多数配備されていて物々しさはこちらのほうが上です。
ビールを飲んで酔って暴れる人がいるのでは?
スタジアムの外には軽食とビールを出す店があり多くの人が試合前にビールを飲みながら楽し気に歓談していました。

試合はPM3:30キックオフ、
リーグ戦首位のドルトムントと5位のFFTの黄金カードですが、
見ていても明らかにドルトムントが実力が上、
早いパス回し、怒涛の攻め、FFTは立ち上がりから守勢です。
リベロ長谷部の活躍で何とかピンチを切り抜けていましたが、FFTは前半に1点を失います。
後半も同じような展開でしたが、FFTは後半に1点を返しました。
その時のスタジアムは地鳴りのような歓声に包まれました。
結局、試合は1:1の引き分け、FFTにとっては上出来の結果だったと思います。
長谷部はフル出場、チームのキープレーヤーです。
チームメートにとても信頼されている感じでした。

      <筆者:佐々木 滋さん>

「スタジアムの盛り上がり」

どちらの国でも今回一番感動したのはあのスタジアムの盛り上がりです。
おらがチームを応援するサポーターが一斉に声を出す、歌を歌う、
旗を振るの中にいる臨場感はテレビでは味わえないものでした。
印象に残っているのはFFTの試合前、観客が立ち上がって、
声を揃えて、多分チームの歌でしょうが、歌を歌うんです。
その時に多くの人がマフラーを両手に広げて左右に振るのはスタジアムという
畑に白と黒のチームカラーのマフラーの華が風に揺れるようで感動しました。
一度、サポーターになってチームを応援したら、多分病みつきになってやめらくなるんでしょうね。

 

「余禄」

① 書きましたように競技場までの交通手段がイギリスとドイツでは雲泥の差。

イギリスのサッカーファンはあの劣悪な交通手段に文句を言わないとすると

よっぽど人間が出来ているんでしょうね。ドイツほうは素晴らしいです。

② お土産売り場はこれはイギリスのほうが上。大きなショップに選手のユニフォーム、

記念品、帽子、マフラー、、、
中国人の観光客が買いあさっていました。

逆にドイツのショップはお粗末で選手のユニフォームも無し、
長谷部のを買いたかったんですが。

③ マンチェスターシティーの競技場にも行きましたが、
こちらは市内から近くて路面電車で10分位、
駅を出るともうそこがスタジアムです。
ギフトショップもMNUと同じように充実。
しかし、この競技場もアクセスは路面電車のみ、
不思議ですどうやって試合後の数万の観客をさばくのかが?

④ 寒さはイギリスもドイツも同じようです。
0度前後で底冷え、今年は暖冬で暖かいと言いますが、寒かった。
ユニクロのヒートテックも効きませんでした。

⑤ 10日間の旅行で幾らくらいかかったかと言うことですが、

ホテル代が10日間で   10万円

チケットが2試合で    6万円

食費や雑費が5000円/日  5万円

ですから、21万円に足すことの飛行機代になります。

チケットは上手く買うともう少し安くできるでしょう。

チケットをご自分で手配なさろうとすると多少英語ができないと難しいです。

 

 

以上のようにご報告いたします。
帰ってきたら、また、行きたいなと思っています。
熱烈サポーターの中に身をおいて世界最高峰の試合を見る。
でもあの寒さに閉口しました。

もう少し暖かい時に。

2019.2.18         その1(前半)はこの下に
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<プレミア/ブンデス観戦記-前編>  

 

サッカー関係者/サッカーファンなら皆さん持っている夢
「一度はヨーロッパのメジャーリーグの試合を見たい」を、私は実現させました。
1/28~2/5までイギリスとドイツに行きプレミアとブンデスを見て来ました。
イギリスはマンチェスターでマンチャスターユナイテッド(以下MNU)対バーンレイを、
ドイツではフランクフルトでフランクフルト(以下FFT)対ドルトムントの黄金カードを観戦です。

今回の台湾通信はその観戦記を回に分けてレポートいたします。

前編は観戦のチケット購入などの事前準備について、後編では実際の観戦レポートを中心にご報告します。

 

「旅程」

ヨーロッパのリーグ戦は基本的には毎週土曜日、平日に不定期にカップ戦やヨーロッパチャンピオンリーグの試合が組まれます。
私が行った週はMNUが変則で火曜日夜(1/29)、FFTは定期日の土曜日(2/2)でしたから
往復/移動を入れて10日間で2試合観られるのスケジュールを組めるので、この日程にしました。

具体的には1/28にオランダのアムステルダム経由でマンチェスターに入り、
1/29に試合観戦、1/30はマンチェスターシティーのスタジアム見学をして、
1/31にドイツのフランクフルトに入る、
2/2の試合観戦以外は観光にあて、2/4のフランクフルト発の飛行機で帰国です。
(時差が8時間あり到着日は2/5でした)

 

「観戦チケット購入」


イギリス
:MNUは外国人は購入者の国で購入方法が異なります。

EU諸国と中国はNetで直接購入できますが、その他の地域の人は暫定会員になって特別チケットの購入です。
私は後者ですから価格は275ポンド(=40.000円)です。

このチケットにはMNU博物館の入場券/クラブハウスでの軽食と飲み物/観戦チケットがセットになっています。
Eメールで申し込んでクレジットカード決済、試合当日スタジアムのチケット交換所で領収書を見せて交付を受けます。
普通に買うとチケットは60ポンド~25ポンドですから10.000円~3.000円くらいです。
対戦カードによって値段が変わるそうです。
本当は観戦チケットだけを買いたかったのですが、規則でそうなっているのでやむなしです。
 


ドイツ
:すべてNetです。私の場合はFFTのホームゲームですからFFTのサイトに入り購入です。
このサイトはすべてドイツ語ですが「チケット購入」のところに
日本語でステップを踏んで教えてくれるところがありますから、それでできます。

但し、黄金カードは一般の人はまず買えません。
と言うのは発売日が会員には数日早くなっていて、会員であっと言う間に完売になってしまいます。
私の試合も首位ドルトムント戦の黄金カード、一般の人の購入日にアクセスしましたが、完売になっていました。

ドイツに住む友人がスイスにあるチケット転売会社(Viagogo)を紹介してくれて、そこにアクセス。
転売チケットを購入しましたが、原価48ユーロ(=6.000円)が約3倍の
値段です。
やむなく購入手続き、チケットは国際宅急便で自宅に送られてきました。
普通にチケットを買うとイギリスと同じく
10.000円~3.000円くらいのようです。

(ちなみに両国とも現地にチケットを購入してくれるサービス会社があり(日本語OK)

 そちらを通すと価格は1枚50.000~70.000円くらいです)

 


「競技場へのアクセス調査」

イギリス:マンチェスター市の中心ピカデリーから路面電車で20分、
「オールド、トラフォード駅」から徒歩で10分位のところとあります。
ヨーロッパのほとんどの都市には路面電車があります。
庶民の足ですが、2両から4兩編成の電車ですから何万人もの輸送は大丈夫なのか不安を感じました。

 



ドイツ:フランクフルト中央駅から長距離列車か市内から出る快速電車で2つ目の駅「スタジアム」下車です。
私は一度フランクフルトを旅行したことがあるので線路沿いのスタジアムを見たことがあります。
ドイツの電車は本数が多くて便利ですから観客輸送は大丈夫です。

 


準備万端、寒さ対策もばっちりしていよいよ出発です。

さて後編では実際の観戦記を中心にご報告いたします。

2019.2.18         その2(後半)に続く
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佐々木 滋の台湾通信

台湾通信 vol.7

台湾スポーツ事情   佐々木 滋(台湾在住会員)

今日は私の住む台湾のスポーツ事情についてお話しします。

今年行われたジャカルタアジア大会で台湾は17個の金メダルを取りました。

出場45カ国中の7番目の成績ですから、立派なスポーツ大国と言えるでしょう。

 

いろいろな競技が行われていますが、台湾で人気のスポーツは野球とバスケットボールです。

特に野球はここのところ実力が上がってきています。
今年の8月にパナマで行われたU-15のワールドカップでは3位(日本は4位)、
今年は行われませんでしたがU-18のワールドカップでも過去2回優勝しています。(日本は優勝経験なし)

今年の9月に宮崎で行われたU-18のアジアカップでは韓国に次いで2位でした。(日本は3位)
育成が順調に行われているのだと思います。

才能ある若い選手が台湾に4チームあるプロ野球に入り、切磋琢磨しますからプロ野球の実力、
はたまたナショナルチームの実力も上がっています。

テレビで見る台湾プロ野球は観客の入りもまずまずでなかなか白熱したゲームを展開しています。

現在の野球の世界ランキングでは日本の2位に対して台湾は4位です。

 

バスケットボールも人気のスポーツですが、こちらは実力が低下気味です。

しばらく前は日本ナショナルチームは台湾に勝てませんでしたが、今は日本のほうが強くなっています。

時々、テレビで中学、高校のバスケットの大会を中継していますが、その盛り上がりはすごく、
体育館は満員、熱気は日本の甲子園野球を彷彿させます。

ところがトップチームのリーグ戦、これは7つのセミプロのチームで構成されているのですが、会場はいつも閑古鳥が鳴いている状態です。

学生の試合の盛り上りはどこへ行ってしまったのか不思議なくらいです。

私見ですが、チームがフランチャイズ制でなく、つまり地元に根付いておらず「おらがチーム」と言うことでなく、
ただ首都の台北を中心にゲームをしているだけで、見る側に応援に行こうという気を起こさせていないためではと思います。

それとナショナルチームの実力低下は各セミプロチームが外人の助っ人を入れており、
彼らに頼るチーム作りをしているので台湾人選手の実力が上がってこないと感じます。

トップチームが引っ張らないと全体の底上げはないでしょうから、
今後もバスケットボール競技の地盤沈下は続くとみています。

 

台湾のスポーツは日本と同じ学校スポーツが中心です。

しかし台湾では一般の学生はあまりスポーツをしません。
一部のスポーツ好きの子は中学から「体育班」と呼ばれる体育専門のクラスに入り運動家の道を進みます。

大部分の学生は勉強に明け暮れ、良い大学に入ることを目指します。大学進学率は80%にもなります。

余談ですが、台湾人はメガネを掛けている人が多く、街にはメガネ屋が乱立しています。

これも厳しい受験戦争のせいではないでしょうか。

日本はスポーツが国民に浸透しているすばらしい環境だと思います。多くのスポーツ選手の中からトップ選手が出てきていると思います。

台湾では限られた運動能力の高い子を鍛え上げてトップ選手に仕立て上げる手法です。

 

スポーツは素晴らしものです。台湾にいると国民全体にもっとスポーツが浸透して、皆がスポーツを楽しみ、
スポーツの良さ/素晴らしさを味わって欲しいといつも思っています。

ある日の台湾の新聞のスポーツ面の写真を添付します。(台湾にはスポーツ新聞はありません)

一面は大リーグのリーグ決定戦で、ロサンジェルスドジャースが勝ったというニュース。

二面は台湾のプロ野球、三面は大リーグで活躍する陳選手に関する記事、四面はアメリカのプロバスケットチームのニュースでした。


スポーツは「するもの」より「見るもの」という台湾人気質を感じさせます。

2018.10.21

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台湾通信 vol.6



ユニバーシアード2017 台北大会                 
佐々木 滋(台湾在住会員)

19回ユニバーシアード夏季大会が台湾の首都台北で昨日(8/19)開幕しました。

この大会は2年に一度、大学生と大学卒業2年目以内の選手が世界中から参加するスポーツイベントです。
世界の中で孤立する台湾はその存在感を世界にアピールする絶好の機会ですから大いに力を入れています。

日本からの大物選手は水泳の萩野公介、瀬戸大也、陸上100mの多田修平などです。

サッカーは日本学生選抜が出てきました。

昨日はそのサッカーの日本対マレーシア戦を見に行って来ました。

 

昨日の台北の予想気温は37℃、試合開始が昼の11時ですから日程の都合とは言え選手、
観客には気の毒な試合設定です。案の定、炎天下滅茶熱の天気でした。

男子サッカーには全部で16チームが参加(女子もあり)。
1日目と2日目の試合結果を添付しますので参加国はお分かりになるでしょう。


これらの国がどんな経緯で参加資格を得たのか、地区予選があったのかなどは分かりません。

試合は予想通り日本の一方的なペースでした。
グランダーの正確なパス、身体能力の高さを示すジャンピングヘッドなど、さすが日本学生選抜でした。

 

さて、今回の「台湾」で行われているこの大会ですが
公式のホスト国は「台湾」ではなく「チャイニーズ‐タイペイ」です。
台湾は国際社会では国として認められておらず1つの地域なのです。
これは隣の大国「中華人民共和国(中国)」との政治的な関係によるものです。

台湾は何とか世界にその存在を認めてもらおうと
オリンピック等の大会には「チャイニーズ‐タイペイ」の呼称で出ています。
自分たちの国旗/国歌の使用も我慢して使わず、「花を捨てて、実を取る」戦略です。
50年後、100年後の独立を見据えての行動でしょう。

今回は自国開催なので「台湾」の呼称を使うべきだとの意見もあったようですが、
さすれば隣のスポーツ大国「中国」は来ないでしょうし、
中国に気兼ねして参加を見送る国も出かねませんからやむなしでしょう。
しかし大会の開催によりアジアの東にある島国の存在は十分世界に知らしめられるので十分なのでしょう。

 

今回、このユニバーシアード大会について考えさせられました。

例えば昨日のサッカーの試合。日本には800校あまりの大学がありますが、マレーシアには多分一桁でしょう。
800校代表対数校代表の戦いでは結果はわかりきっています。

アフリカ、アラブ、中南米、アジアではまだまだ大学の数はそれほどではないと思います。
ましてや大学でスポーツに打ちこむ人口では比べられないと思います。

「世界」を冠にする大会にふさわしいのか? 
     なんのための大会なのか?

 その趣旨は? 
このままでは先細りになる大会のような気がしますが・・・

まあ、何はともあれ日本のサッカーチーム勝ち進んで上位進出してほしいですね。

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台湾通信 vol.5

<台湾とオリンピック>        佐々木 滋
(台湾在住会員)

 

 日本はリオ.オリンピックの日本選手の活躍に連日沸き返っていることでしょう。
はたまた自国選手のみならず各国のトップアスリートの素晴らしいパーフォーマンスを期待してTVに釘づけの方も多いのでは。

さて私の住む台湾ではオリンピックは全然とは申しませんが盛り上がりに大いに欠けます。
一つには自国の選手が出場する競技が少ないこと。(日本でも日本人が出る競技種目に注目が集まりますが)
この国の主な出場種目は重量挙げ、卓球、アーチェリー、テコンドーなどです。
その重量挙げでは大会2日目に女子選手が金メダルをとり、
他の選手も銅メダルを取りで国中が大いに沸きましたが、その後はメダルがなくまた静かになってしまいました。
(大会8日目現在金が1つ、銅が2つ)
 日本のようにオリンピック期間中はその話題で盛り上がるということはこの国にはありません。
国が違うと文化が違い価値観が違うということになります。
スポーツはこの国ではあまり重要ではありません、学問が一番大事なのです。
極論するとここでは、この2週間はいつも通りに時間が過ぎていく2週間です。
以前に私が住んでいたマレーシアではかつての宗主国イギリスの影響でスポーツに対する関心が高く
オリンピック時にはTV中継も多くそれなりに大会ムードを味わえましたがここではそれはありません。

ところで、そのTV放送の件ですが、今は全世界のほとんどの国でNHKの国際放送で日本の番組がリアルタイムで楽しめます。
 私も朝昼晩のニュースや大相撲中継、たまですがJリーグやプロ野球中継などは大きな楽しみです。
 ところがオリンピックは見られません。
NHKのオリンピック放映権が日本国内に限られているので海外には流せないのです。
ニュースなどでオリンピックの場面になると動画が選手の写真やプレーの場面などの静止画像に突然変わり、
音声は聞こえますから、我々はその静止画像を見ながらワーワー言っている観客の声援をむなしく聞くことになります。
以前はその静止画像が富士山の写真だったり日本の景勝地の写真だったりしましたから
選手の写真になったのは大いに前進と感謝はいたしますが、とにかく欲求不満が溜ります。
この2週間は海外のスポーツ愛好家にはフラストレーションの溜る半月になります。
ちなみにこの期間のNHKニュースは1時間遅れとなり、
もともとのニュースを編集しなおしオリンピックの場面を削除しての放送になります。
我々はNHK受信料の支払いをしておりませんからこの程度は我慢なのでしょう。
台湾のオリンピック報道

写真は金メダルを取った選手をたたえる台湾の新聞です。

関心が薄いとは言えオリンピックの金メダル、さすがに全国紙の一面トップで報道です。

(全国紙の一面トップがこの内容と言うのは問題な気もしますが)

この選手は台湾の先住民族(原住民で日本では高砂族と呼びますが)で部族はアミ族。

台湾の著名なスポーツ選手はほとんどが原住民です。運動能力がとても優れています。

日本でもプロ野球の日本ハムに楊と言う選手がいますが、彼も原住民です。

台湾のスポーツを支えているのは彼ら台湾原住民です。

2016.8.15
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台湾通信 vol.4

<サッカーワールドカップ2次予選グループF>    佐々木 滋(台湾在住会員)

 

9月8日(火)は各地でワールドカップアジア2次予選が行われました。

グループEの日本もアフガニスタンと戦い60で勝利しましたが、TVでご覧になった方も多かったと思います。

私の住むここ台湾でも台湾チーム(国としてFIFAに認められていませんからチャイニーズ/タイペイの名称)が2次予選に進んだため、
グループFに入りホームでの試合が行われました。相手はベトナムです。ここまで台湾チームは2連敗。

 

このF組にはイラク(82位)、タイ(137位)、ベトナム(152位)、インドネシア(165位)、台湾(179位)が入っています。
(( )内は世界ランク)

ところがインドネシアは政府がインドネシアサッカー協会に干渉したという理由でFIFAから制裁を受けて
2次予選から除外され参加できなくなり、この組は4か国で戦うことになりました。

下馬評では世界ランク上位のイラクが順当に勝ち上がると思われていましたが、
8日の試合でアウェイでタイと22で引き分けてしまいわからなくなりました。

 

さて台湾での試合は実力的には劣る2チームの戦いでしたが、なかなか白熱した試合でした。
実は私は台湾に住んでもう12年になるのですが、サッカーの試合を見たのは一度しかありません。
それはもう10年ほど前になるのですが、多分ワールドカップ南アフリカ大会の予選だと思います。
相手はイラン。
今でも覚えています、台北市の陸上競技場を兼ねた芝のはげたグランド、薄暗い照明の下詰めかけた観客約200名。
地元のTV中継はなし。アジアの強豪イランからはTV局のスタッフが独自に機材を持ち込み中継していましたが。

 

サッカーは台湾ではマイナースポーツです。ここで盛んなのはバスケットボールと野球。

全体的にスポーツは一部の愛好家がするものとの風潮で、日本のようにスポーツが国民に根付いているという風土ではありません。

そんなわけですから、過去の経験から今回も同様と考え、7時の試合開始に合わせてのんびり夕方に出かけて、
当日券を買って、ビールでも飲みながらの観戦を考えていました。

ところが朝方「チケットは完売、当日券はなし」の情報が入りました。
慌ててインターネットで調べると確かにその通り、やむなく自宅でTV観戦となりました。残念至極。

 

定刻7時にキックオフ、審判は韓国。

時々映される観客席の映像ではかなり空席が見られ、特にゴール裏はガラガラと見ました。
22.000人収容のスタジアムが満席になっているとはどうしても見えません。
多分、チケットの発行を制限したんだと思います。

しかし10年前の200余名とは明らかに違う観客が入っています。
2万人近い数字になっているように見えました。

思うにこれはインターネットの普及で若い人を中心に国際試合があることが知らしめられたことで(確かに若者が多かった)、
それらの若者がファッション感覚で詰めかけたこと。

それに台湾チームのユニフォームスポンサーのアディダスが
入場者に無償のグッズを提供して集客に協力したことなどによると思います。

 台湾1

何はともあれ多くの人が競技場に詰めかけて
生のサッカーの試合を見てくれてサッカー好きになってくれればそれは喜ばしいことです。

(それともう一つベトナムは地理的に近いので多くのベトナム人が応援に駆け付けたこと。

 バックスタンドは赤いユニフォームを着たベトナム人でかの国のホームの試合のような雰囲気になっていました)

 

試合は21でベトナムの勝ち。 試合データは下記です。

 

            ベトナム    台湾

  ボール支配率     53%     47

  シュート       12本     18

 
データからもわかるように一進一退の攻防が繰り広げられた白熱した試合でした。

しかし実力はベトナムが上、2点ともサイドからバックを崩してのもの、台湾の1点は

フリーキックを頭でどんぴしゃに合わせたヘッディングシュートでした。

 台湾3

さて試合後のインタビューで感激することがありました。

勝者ベトナムの代表監督はなんと日本人だったんです。
そう言えばと思い、先日見た
日本経済新聞の記事を調べると、その方は三浦俊也さんと言う方でした。

私はその方の経歴は存じ上げませんが、日本でそれなりの実績がおありになるのでしょう。

インタビューでは堂々と英語で受け答えをされていました。
新聞によると現在海外で活躍する日本人サッカー関係者はこの三浦さんを含めて16人。
たいしたものですね日本のサッカー。

三浦さん、そうですね歳の頃は35歳くらい、
多分代表チームを兄貴分のような雰囲気で指導されているのではないかと思います。

試合はもう半分台湾人になりきっている私には残念な結果でしたが、
TV観戦後なんだか気持ちが熱くなっているのを感じました。

次戦はぜひ生の試合を見に行きたいと思っています。

2014.9.10

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台湾通信 vol.3

台湾通信 vol.3

台湾で大ヒットの映画「
KANO
」           
佐々木 滋

 

今、台湾で大ヒットしている映画があります。その題名は「KANO」。

KANO」とは「嘉義農林学校」の「嘉義」と「農林」の頭のローマ字をとり「KANO」。

嘉義農林学校は台湾の嘉義県にあった農業/林業専門の高校です。

この学校の野球チームのユニフォームの胸のところに大きく書かれていた文字が「KANO」です。
嘉義県は台湾南部にあり、阿里山登山の出発地として有名です。
KANO


 さて時は昭和6年(1931年)、台湾は日本の植民地でしたから(明治28年から昭和20年の50年間)
このチームは台湾県代表として甲子園に出場したのであります。
そして見事に準優勝して台湾に凱旋帰国しました。
この映画はその実話に基づいた台湾映画で、弱小だった「KANO」チームが名日本人監督の元、
いかに鍛えられ、予選を勝ち抜き、甲子園で活躍したかを描いたスポーツ物映画です。

主演は監督の「近藤兵太郎」役に長瀬正敏、野球選手は現実の台湾人高校生が出演しています。

この昭和6年の「KANO」チームは名投手「呉明捷」を擁し、チームは日本人、漢人、台湾原住民の3民族混成で、
それぞれの民族がそのよさを出したとても強いチームだったようです。

甲子園では次々と強豪を破り決勝進出、
決勝戦では中京商業に04で敗れましたがその健闘ぶりは多くの日本人に感動を与えました。

ちなみに呉投手はその後、日本のプロ野球に入ったそうです。
またチームはその後5回甲子園に出場しましたが成績は昭和6年の準優勝が最高だったようで、
やはり野球はピッチャーと言うことになるのでしょうか。

この映画では野球のほかに昭和初期の台湾の南部の町並みや景色が見事に再現されており、
当時を偲ぶことができます。
またこの地に灌漑用水を作って嘉義県を台湾有数の肥沃な農業地帯にした日本人
「八田与一」なども登場して話題盛りだくさんになっています。

(ちなみにこの八田与一と言う人は台湾では神のような存在でその名を知らない人がいないほどなのです。)

前回の私のマレーシアの話でイギリスの植民地統治は素晴らしいと書きましたが、
日本の台湾統治はイギリスのそれに勝るとも劣らないすばらしいものでした。

地域の発展の為に労を惜しまず、インフラの整備、教育の充実、そして文化移転までしています。
50年間の日本植民地時代にこの国の現在の発展の礎が出来たといっても過言ではないでしょう。
野球も日本人が台湾に残した大きな文化遺産です。

外国映画の中の日本人は、特にアジア映画では悪い人のイメージが多いですが、
この映画は話される言葉がほとんど当時の国語の「日本語」で見やすく、日本人が普通に描かれていますから
観賞後も気持ち良く映画館を出れました。

多分、この映画は日本でも公開されるでしょうから機会がありましたら是非見てください。

では又の機会に。

2014.4.15

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台湾通信 vo.2

台湾通信 vol.2

マレーシアスポーツ事情
       佐々木 滋

 

私は現在住む台湾に移る前はマレーシアに8年ほどおりました。
マレーシアのスポーツ事情をお話ししましょう。

 

昔の宗主国イギリスの影響を受けてイギリススポーツのサッカー、ホッケー、バドミントン、
テニス、スカッシュ、ゴルフというところが人気スポーツです。
 この国は国土が広く、常夏の気候と毎日のスコールでそこそこに緑があふれています。
町のいたる所に緑色の草で覆われたグランドがあり、そこでサッカーに興じる子供達や
仕事が終わってからホッケーを楽しむ人たちなどを良く見かけました。
週末には朝の涼しい時にテニスやゴルフをする人、また室内でバドミントンの練習に励む人も多くいます。

マレーシアが国際レベルに有るのはこのバドミントンで、人気もあり国際大会では大きな体育館が満員になります。
 その他のスポーツは残念ながら世界に通用するものはありませんが、
前回レポートした台湾よりもスポーツは身近なもので、国民はそれを楽しんでいるという感じがします。
(その分、勉強はしていないのでしょう)
バドミントン


 スポーツ環境の良さからか、マレーシアに滞在する日本人社会でもスポーツが盛んでした。

私がいたころ首都クアラルンプール近郊に点在する日系企業20社ほどが集まって
各社が野球チームを作り、ソフトボールのリーグ戦を毎週日曜日にやっていました。
私もあるチームの1番、サードでした。結構みんな熱くなってアウト、セーフでもめたりするんです。
日本人は野球好きなんだなと思いました。
日系企業が減った今でも、あのリーグ戦は健在で、昨年も18チームが熱戦を繰り広げたようです。
ソフトバール


 サッカー経験者も最近は多いですから、
日本人学校で子供にサッカー指導していたお父さんたちが集まってチームを作り、
地元のリーグに参加して試合をしたりしました。

リーグ戦には、白人チームや、韓国人チームも入っていました。
私がチームにいたころ慶応を出て浦和レッズに勧誘されたというプレーヤーがいて、
とにかくスピードが桁違いでその人がドリブルすると、
ロバの集団にサラブレッドが入っているような感覚だったのを覚えています。
私がマレーシアを離れてからは早稲田でレギュラーを張っていた人が入って来たとかで、日本チームとても強かったです。

東南アジア各国、各都市には日本人サッカーチームがあり、
ある時から各国持ち回りで「アジアカップ大会」なる大会ができました。
 私は代表チームに入っていませんでしたが、マレーシアチームはまずまずの実力と聞きました。
 サッカー競技者が益々増えており、海外進出企業の多い昨今、大会はますます発展、
昨年はマレーシアへアジア8か国から16チーム、総勢350人が参加して覇権を争ったとNETのニュースにありました。

マレーシアは競技会の運営も上手なようで、国際大会の予選がよく行われます。
マレーシア地図


 アジアサッカー連盟の本部もマレーシアにありますね。
ワールドカップ予選などで中東と東アジアが開催地の綱引きでもめた時など、
地理的に真ん中にあるマレーシアはヒョイと引き受け、問題なくこなします。
2002年にホッケーのワールドカップが首都クアラルンプールで開かれましたが、その準備、運営も見事なものでした。
 そのようなことができるのは、一つにはイギリスの植民地であったため英語が公用語(国語はマレー語です)で
国民の大多数がそれを話せるということが理由にあると思います。
 英語という世界共通言語が問題ない風土は大会の受け入れに大きな武器になりますから。

こんな所にもこの国、イギリスのお蔭があります。

 

 コモンウェルスゲームズ

そのイギリスを中心とするスポーツ大会があります。“コモンウェルス大会-英連邦スポーツ大会”です。

コモンウェルスゲームと聞いてピンと来る方、かなりのスポーツ通ですね。

イギリスとかつてのイギリスの植民地だった国が集まって
今でも4年に1度ユニオンジャックの下、スポーツ大会を開いているんです。
私がマレーシアにいた1998年に、首都クアラルンプールでその大会が開かれました。
その大会規模の大きさ、華やかさに度肝を抜かれました。
参加国はカナダ、オーストラリア、ニュージーランド、インド、パキスタン、マレーシア、南アフリカなどのアフリカ諸国、
中米の小さな国々など全部でなんと53ヶ国にもなるそうです。

1930年が第1回で、ちなみに2010年がインドのデリーで、今年はスコットランドで開催です。

イギリスという国の素晴らしさを感じました。
イギリスは植民地化した国に文化を移転させるんですね。
植民地を搾取の対象としかとらえない他の列強となんという差でしょう。

ですから英領植民地だった国は今でもイギリスに恩義を感じ、
感謝して4年に1度の英連邦競技会に喜んで参加しているのだと思います。

スポーツは一つの文化です。
イギリスの植民地だったインド、パキスタンではホッケーが根付き国技ですし、
マレーシアではバドミントンが国民スポーツです。

仮に日本がかつての植民地、韓国、中国の満州地区、台湾に呼び掛けて
日の丸の下、スポーツ大会を開いたら、親日本国の台湾は参加するでしょうが他の国、地域はどうでしょうか?

さて、そのコモンウェルス大会ですが、基本的には10種類の競技で、英国スポーツが中心です。
ボーリングの起源のローンボールや7人制ラグビ―、スカッシュなどもあります。

サッカーがその競技種目にないのが何とも不思議なんですが、その理由はわかりません。

多分、イギリスが圧倒的に強いので他の国を気遣ってではと思います。

 

SEA-Games

  東南アジアの国々を中心とするスポーツ大会があることはご存知ですか。

SEA-Gamesと言います。South East Asian Gamesです。

 11ヶ国が参加する東南アジア最大のスポーツ大会です。
1959年に始まった、奇数年に各国持ち回りで行われる大会だそうで、歴史もあります、
年々盛り上がってきているようです。昨年の12月には発展著しいミャンマーで開かれました。

オリンピックはレベルが高すぎる、アジア大会でもまだ高いという国々が、身の丈に合ったレベルで競うこの大会は、
地域の関心が高く、前回のインドネシア大会のサッカーの決勝戦のインドネシア対マレーシアの試合は台湾でも放映されましたが、
その熱気は想像以上で見ていても圧倒されました。
 いろいろな国がスポーツを中心にしてまとまっているのを見るのは楽しいものです。

ではまた、次の機会に。
2014.3.7

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台湾通信 vol.1

台湾通信 vol.1

台湾からのリポート     
佐々木 滋
佐々木滋

プロローグ

佐々木滋と申します。昨年、新しくRa-Tokyoのメンバーにさせていただきました。

現在、台湾に住んでおります。

 私は長坂会長が三鷹高校で教鞭をとられていた時にサッカーを教えていただきました。
 サッカー審判の経験は日本で少年サッカースクールのコーチをしていた頃に4級を取り、
子供の試合や社会人の試合で笛を吹いた程度です。

大学ではフィールドホッケー部に籍を置き、審判歴ではホッケーのそれの方が長く、
卒業後の審判生活では関東学生リーグや大学選手権、ミニ国体等で随分笛を吹きました。

ホッケー審判に少し触れましょう。
ホッケーでは一番下のC級、経験を積んで試験に受かるとB級というクラスになります。
 このB級を持つと国体を含む全国大会で吹くことができます。(私もB級でした)
 B級の中で優秀なレフリーがその上のA級になり、A級の中から日本ホッケー協会が
FIH(サッカーのFIFAにあたります)に推薦し承認された人が国際審判員に名を連ねます。

各国国際審判員の中でも特に優秀なレフリーが「グレードⅠ」というカテゴリーに入れられ、
オリンピックやワールドカップはこの「グレードⅠ」にいないとお声が掛かりません。
ホッケーというマイナースポーツでも4年に一度のこの2つの祭典で笛を吹くのは大変難しく、
世界中を飛び回って笛を吹き、特にヨーロッパに顔を売らないとダメと言うのはサッカーと同じだと思います。
私の大学の先輩でオリンピックで2度笛を吹いた方がいらっしゃいましたが、
全盛期は1年の半分以上を海外で過ごしたとおっしゃっていました。


台湾の教育とスポーツ事情

さて、審判の話はこれくらいにして、、、
長坂会長からは海外にいる者の目で見た現地情報とか外から見た日本などを書いてくれないかと言われており、
そんな視点からレポートをお送りしたいと思っています。

前述のように私は現在、台湾に住んでおり、この地で日本語教師をしております。

 もう台湾は11年余になり、その前はマレーシアに8年ほど居りましたので20年余りの海外生活になります。
(マレーシアではビジネスの世界に身を置いておりました)

今日はまず台湾の教育事情、台湾スポーツ事情をお話ししてみましょう。

ここ台湾は日本以上の学歴社会で一番大切なものは勉強であり、
極論するとスポーツは勉学を妨げる何ものでもないという考えです。
 昨年から法律で高校も義務教育となり、日本の大学進学率が50%超えたとか言われていますが、
ここではそれが70%は優に超えているのではないでしょうか。
(ですから大学生の質は推して知るべしです、、、)

私は現在台湾の高校の教壇にも立っております。
台湾の高校にも運動部はあることはあるのですが、それは「体育班」と呼ばれる運動中心の学生の集団です。
彼らは午前中のみ形ばかりの学業で午後は練習、一般学生とはまるで別々です。
中学の時にスポーツに優れた子は高校の「体育班」を目指し、
学業で行こうと決めた運動好きの子供はスポーツを棄てて勉学に打ち込みます。
「文武両道」とは漢語だと思っていましたが、この国の現実をみると日本語だと思わざるを得ません。


台湾のスポーツ界

そんな環境ですがあえてスポーツに目を向けると、、、
この国で盛んなスポーツはバスケットボール、野球、サイクリングとなります。

街のあちこちの場所にはバスケットボールのミニコートとゴールがよく見られます。

週末には3対3で攻撃と守備を分けてゴールを狙うゲームに汗を流す若者を多く見かけます。
セミプロリーグもあり、年間の覇権を懸けたリーグ戦が行われテレビの生中継でその試合を楽しむこともできます。
このバスケットボールの台湾の実力はなかなかで日本のナショナルチームより少し強いぐらいではないでしょうか。

バスケットボール

昨年の野球のWBC予選で日本を苦しめた台湾野球チームの実力もあなどれません。

現在、台湾にはプロチームが4つあり春先から日本と同じようにリーグ戦が始まります。

選手の中には大リーグに引っ張られるものもいるくらいです。

野球界を支える高砂族

台湾にはもともとこの島に住んでいた「台湾原住民」がいます。
その昔、オーストラリアの北あたりから流れ着き台湾に住みついた人種です。
現在の台湾の主流の華人(中国人)はせいぜい400年前にこの島国にやってきました。
台湾原住民の人口比は15%くらいです。
そう、日本では「高砂族(たかさごぞく)」と呼ばれていましたね。
(実は高砂族と言うのは山に住む台湾原住民のことで、
こちらではその他の区分で平地に住むもの、海辺に住むものなどの区別があります。)

彼らは一般的に肌の色が黒く、あごのエラが張って、運動神経が良いのです。
そしてなぜか野球が好きでプロ野球の選手、高校の野球部員の多くはこの台湾原住民です。
今は台湾華人社会に同化して名前が漢民族化していますから名前だけでは判断できませんが、顔を見ればわかります。
一昔前に西武ライオンズのエースだった郭泰源というピッチャーを覚えていらっしゃる方は
「そーいえば、色黒であごのエラが張ってたな~」と思い出されるのでは、、、。

台湾のプロ野球チームの実力は、日本と代表レベルで10回戦えば2回は必ず勝つくらいで、そこそこ強いとおもいます。

野球に並ぶサイクリング

もう一つの盛んなスポーツはサイクリングでしょう。

台湾は自転車製造では世界でも有数で「GIANT」とか「MERIDA」というブランドは世界で名をはせています。

そんな背景もありツールドフランス出場選手を思わせるユニフォームに身を包み道路を隊列を作って走る「銀輪部隊」を良く見かけます。
銀輪部隊

台湾は小さく、全島をぐるっと回っても1000Kmくらいですから、
台湾一周自転車旅行に挑戦する人は海外からの人も含めてかなりいるようです。



エピローグ

その他のスポーツはぼちぼちでして、
サッカー場やサッカーゴールはありますが、試合をしているのは見たことがありません。
(私は台湾の北部に住んでいます。台湾の南部は北よりもスポーツが盛んと聞いています。)

日本は中学・高校と勉学に励み、かつスポーツに打ち込む若者が多く、
また社会人になっても体を動かし汗をかく喜びを知る人が多い、素晴らしいスポーツ文化を持つ国だと思います。

私は現在週末にジョギングをするくらいですが、
スポーツのことを思うにつけ日本人に生まれて良かったと思わざるを得ません。

台湾の若者はかわいそうです。勉強だけが人生なのですから。

世の中には楽しいこともっともっとありなんですが。

では、今日はこの辺で。

            

2014/2/1
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